ポジション別の怪我とそれに伴った欠場期間

現在の研究結果では、上半身の怪我(肩・肘・手首)がピッチャーに多く、反対に下半身の怪我が野手に多いとわかっており、特にシーズンの前半の方が怪我が多いとされています。

この研究では、とあるMLBチームとその支配下のマイナーチーム(計7チーム:ピッチャー127人、キャッチャー31人、野手133人の合計291選手)で2010-2011の1年間のシーズンの間で起きたすべての怪我と、その怪我によっての欠場期間を調べています。また、身体の部位別とポジション別での怪我の数やその怪我によっての欠場期間も調べています。

まず、ピッチャーに焦点を置きますと、肩と肘の怪我が多く、127選手中それぞれ12人選手づつ。足首の怪我が最も少なかった。

怪我の部位 詳細 欠場期間
手首 有頭骨骨折 55日
靭帯損傷もしくは断裂 275日 (最長)
  屈筋群の肉離れ 128日
肩甲下筋の肉離れとSLAP損傷の手術 157日
  上腕二頭筋の腱炎 ×2 86日 (2人で)
前十字靭帯+内半月板損傷 169日
  内半月板損傷のみ 83日

キャッチャーでは、肩・肘・手首の怪我が多くそれぞれ4選手づつ(31人中)

怪我の部位 詳細 欠場期間
手首 有頭骨除去 69日
靭帯損傷 1度 19日
胴体・太もも ハムストリングの肉離れ 20日
内半月板損傷 60日
足首 捻挫 30日

内外野を含めた野手では、腹部や臀部周りの怪我が一番多く16人(133選手中)、足首/足の怪我が10人、肩の怪我が9人、肘の怪我が最も少なく2人という結果に。

怪我の部位 怪我の詳細 欠場期間
手首 舟状骨の骨挫傷 24日
上腕二頭筋腱炎 243日
  SLAP損傷/肩関節の不安定性 88日
胴部・太もも 股関節唇損傷 ×2 118日
後十字靭帯・内側側副靭帯・内半月板損傷 64日
足首 足首の骨折 ×2 詳細不明

腰筋・背筋・腹斜筋(腹筋)の肉離れが多く、またこれらの怪我の再発が野手には多い。

データを基にした考察

メジャーリーグでは大半(約50%)の怪我が上半身で、下半身の怪我は全体の約30%。(残りの20%は胴体)

特に、野球では全体の約20%の選手が肩の怪我をもち、全体の30%くらいの欠場期間を有していて、この研究結果でも、ポジションに関わらず長期間の欠場期間を要するのは肩の怪我であった。

野手では、太ももについている筋肉の肉離れや股関節唇損傷の怪我が多い。

過去に太ももの筋肉の肉離れ経験がある選手や

股関節の外転(太ももを中心から外に蹴る動き)の可動域が狭い選手

が肉離れしやすいことがわかっているので、これらに当てはまる選手は肉離れ予防で適切な筋トレと柔軟アップのトレーニングが必要とされる。

更に、野手にはキャッチャーやピッチャーに比べて腹部や臀部の怪我が多く、再発率も高い。

大半の腹部の怪我は、投げる時の利き手と逆(右投げなら左脇腹)、バッティングの利き側ど逆(右バッターなら左脇腹)の腹斜筋の肉離れが多い!

これを考慮した怪我予防のトレーニングが必要になります。

野球全体の怪我の40-80%はピッチングに関わっていると言われています。

バレーボールのアタッカーや、アメリカンフットボールのクォーターバック(QB)等、オーバーヘッドの動きをするスポーツは他にもありますが、ピッチングというものは特別で、

ボールを離す前の加速の役割をする筋肉(肩甲下筋・広背筋・大胸筋)がアメフトのQBのスローイングに比べてより使われることにより、ボールを話した後の減速中の肩の内旋(内に巻く動き)の速度はの3-4.5倍で、肘の伸展の速度は2-3倍と大きくなる。

減速中の速度が速い分、筋肉にかかる負担が大きくなる。これがピッチャーの肩の怪我の要因になっている。

ピッチャーはどの身体の部位の怪我でも他のポジションに比べて欠場期間は長くなってしまい、

この研究結果では、肘の怪我による欠場期間は、野手に比べて27倍・全選手の34倍

胴体と太もも周りの怪我による欠場期間は、野手の5.6倍・全選手の6.4倍

膝の怪我による欠場期間は、野手の16.8倍・全選手の22.6倍という結果に。

怪我の部位 野手と比べた欠場期間の長さ 全選手と比べた欠場期間の長さ
27倍 34倍
胴体・太もも 5.6倍 6.4倍
16.8倍 22.6倍

まとめ

野球の怪我の大半が上半身の怪我が多いピッチャーが占めている為、野球においての怪我は上半身が半分を占めており、ピッチャーは上半身の怪我による欠場期間が長く(特に肘)、キャッチャーや野手は下半身の怪我による(特に膝)という結果がわかったと思います。

また、ポジションによって怪我の種類や、欠場期間の長さが全然違うことがお分かりになったと思います。個々の選手に合わせたトレーニングがベストではありますが、それが難しい環境のチームがほとんどだと思いますので最低限、ポジションごとの怪我予防のトレーニングメニューを組むことをお勧めします!

参照

Xinning Li, Hanbing Zhou, Williams P, et al. The epidemiology of single season musculoskeletal injuries in professional baseball. Orthopedic Reviews. 2013;5(1):11-15

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アメリカの準国家資格(メディカルトレーナー)のアスレチックトレーナー(NATA-ATC)として自分の知識・経験と研究結果を下に学生アスリートの保護者の方・顧問/監督・ファンの方に特に野球に関する怪我、トレーニング、身体の仕組みをお伝えしたいと思っております!興味のある内容・質問などぜひコメントにお願いします!

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