トレーナーの卵として見た西岡選手と福留選手の衝突時の処置を5年半たった今、教師として伝える

2014年3月30日、阪神タイガース 対 読売ジャイアンツ戦

巨人の攻撃中、大竹選手のライト前方の飛球をライトの福留選手とセカンドの西岡選手が追いかけ衝突。西岡選手は跳ね上がり、頭・首から落ち、後頭部を打ち付けて救急搬送されたことは、5年半たった今も鮮明に覚えている方も多いのではないかと思います。

私はまだ日本で、ネイティブの先生から英語を。それプラス日本語でトレーナーの基礎を勉強している時でした。そして、この現場で西岡選手の救命救急をされていたのが、これから私がアメリカに勉強・資格取得しに行く、アスレチックトレーナー(NATA-ATC)として働いていた、阪神タイガースの権田康徳トレーナーでした。

阪神ファンの私にとって西岡選手の状態が心配だったと同時に、彼と同じ資格をこれから取りに行くと考えると、「こんな現場で私は働くんだ。人の命を預かる仕事なんだ。」と急に怖くなったのを覚えています。

あれから5年半経った今、私は彼と同じ資格を取得し、将来指導者になりたい大学生に向けたスポーツ現場の応急処置のクラスを受け持っており、このような生死に関わる怪我の処置を教えております!

そして先日、私のクラスでアメリカ人の生徒に日本語のこのビデオをみせて、生死に関わる怪我の瞬間・その対処方法の授業をしました。

怪我の瞬間を映している動画はたくさんありますが、救急車に乗せるまでの一部始終を載せた動画は中々見当たらないので、この動画は将来この様な現場に関わる可能性のある生徒にはとても重要だと思いました。

西岡選手の怪我は、

  • 鼻骨骨折
  • 胸部打撲
  • 左肩鎖関節脱臼
  • 脳震盪

と重症ながらにも、選手生命に関わるだけでなく日常生活にも支障を来す怪我(脊髄損傷)でなかったことが本当に不幸中の幸いだと思います。

今回は、その権田トレーナーが怪我が起きてから救急車が来るまでにされた処置、その意図を彼と同じアスレチックトレーナー的視点から書かせていただいて、この様な状況が起きた時に必要な対処法をお伝え出来たらなと思います!

頭部・頸部の怪我の処置

アクシデントが起こってすぐ、権田トレーナーはより重症の、意識を失っている西岡の選手の元へ。

トレーナーとしてまずしないといけない事は

  • 救急車を呼ぶ
  • 意識レベルの確認
  • 呼吸・脈の確認
  • 頭・首を固定

動画からも見えるように西岡選手は白目をむいていて意識がないことがわかります。ただ幸運なことに、脈・呼吸があったみたいなので、そのタイニングでの心臓マッサージの必要はなかったので、すぐさま最悪のケース(頭蓋骨骨折・頸椎骨折・脊髄損傷)の為の処置として頭部・首の固定に入いる事が出来ました。

その次に権田トレーナーが周りの選手に指示した事が、

  • 靴を脱がす
  • ベルトを緩める

あの状況で次に心配しないといけないことが“ショック”に対する処置でした。

ショックとは、生体に対する侵襲・もしくはそれに対する生体反応の結果、血圧がガクンと下がってしまい、脳や心臓などの重要な臓器への十分な血流を流す事ができなくなります。結果、細胞の代謝障害や臓器障害が起こり,生死にかかわる危険な状態

服を緩めるだけでも部分的圧迫がなくなり、少しですが血が流れやすくなるので、ショック対策として服を緩めたと思います!

また、現時点で脊髄損傷が起こっているかの確認として末端の足や手が動くかどうかの確認をするためでもあったと思います。

※ただここで一つ気を付けないといけないことが、身体を大きく揺らしすぎると首が動いてしまうので、慎重にゆっくり体を出来るだけ動かさない様にすることでした。

意識を取り戻した西岡選手は、痛みからか反射的動きからか、身体を動かそうとしていたので、権田トレーナーは動かない様に指示。

権田トレーナーは西岡選手の頭・首を終始固定せず、スパインボード(spine board)という頸椎の怪我の可能性の患者を搬送する時に使うボードの準備をされていましたが、個人的にスパインボードの準備は他のトレーナーに任せて頭・首の固定から手を離さない方がよかったと思います。西岡選手は腕は動かしていましたが頭・首を動かしていなかった事、結果的に脊髄損傷はなかったので良かったのですが…

過去に赤星選手が脊髄損傷で引退し、現在も後遺症で苦しんでいらっしゃるのもあって、脊髄損傷は本当に防がなければいけないと思います。

しかしとりあえず、身体が動かせる事がこれで確認できたので、現時点での不随になるほどの脊髄損傷の心配が減り、トレーナーとしては少し安心という気持ちだったのではないかと思います!

後は救急車が来るまで、ひたすら首・頭を固定、そしてショックにならない様にできるだけ話しかけ、意識確保という感じだったと思います。もちろん、最悪の場合に備えて心臓マッサージとAEDの準備も必要ですね!

結果、救急車が到着後にスパインボードに乗せて、首を固定したまま搬送。無事、最悪の事態は回避。

あの首を固定し続けるのって、見ている以上にとっても大変なんですよね。あの身体の体制はしんどいし、腕はしんどいし、あのような状況だと恐怖と心配で手が震えてもおかしくないけど、手が震えてしまうと頸椎が動いてしまうからそれを必死でコントロールしないといけないですし。

5年半前は、権田トレーナーが何をしているのかを100%理解出来ていなかった私も、約8年前の高2の時に決意したNPB初の女性トレーナーになるという夢を今でも目指し、彼と同じ資格を取って、大学生に救命救急を教えながら、同じ責任をもって現場で経験を積んでいます!

教師としての経験を活かしてこれからもスポーツ現場での怪我の処置の仕方・怪我予防・トレーニング方法などを特に野球に特化して伝えていければなと思っています!

アメリカの準国家資格(メディカルトレーナー)のアスレチックトレーナー(NATA-ATC)として自分の知識・経験と研究結果を下に学生アスリートの保護者の方・顧問/監督・ファンの方に特に野球に関する怪我、トレーニング、身体の仕組みをお伝えしたいと思っております!興味のある内容・質問などぜひコメントにお願いします!

にほんブログ村 野球ブログへ
にほんブログ村

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中